都内の片隅。籠目町。
多くの人間の生活が蔓延る街。
そんな土地で、親元を離れて暮らす少年がいる。

 

田舎生まれの田舎育ち。思春期の道を通り過ぎる凡庸な彼は、

籠目町に住居を構える祖父母の家で、自らの人生を充実させながら暮らしていた。

 

 

ある日、彼は狐の嫁入りに遭遇する。
それは見事な結婚式。狐の夫婦の新たな門出。

 

夕刻の予告なき夕立に打たれながら、彼は美しい花嫁を、真剣な眼差しで凝視した。

それが、彼にとっての人生の転機。

 

 

翌日から、少年の生活は一変する。
彼は、理由も分からず、命を狙われる日々を過ごすのだった。